5月23日(木)“心揺れる”ティーチイン付き上映会レポート
公開後、𠮷田はエゴサーチ追いきれず、森は旧友からのメッセージで本作の話題性を実感!
感動の余韻に浸る観客の前に、登壇した𠮷田恵輔監督と森優作さん。まずは「ご自身の周囲の人からは、どんな反応がありましたか?」という司会者からの質問に対して、「見た人の声を知りたいので毎作品、エゴサーチをしているが、今回は多すぎて全て見切れない!これまでの作品とは比にならないくらい多すぎて嬉しいけれど、一日中(携帯の画面を)見てしまうので老眼も加わり、具合が悪くなっている (笑)」と吉田監督は回答しました。森さんは、「役者の友達とかはすごくたくさん連絡をもらいます!」とその反響の大きさを実感。イベント前には、ずっと連絡を取っていなかった中学の同級生から連絡が来たそうで「すごく熱く『ミッシング出てるね!ニュースとか見てるよ!』って超長文のメールが来ました。『頑張ってね!』と書いてあったけど、実はまだ『ミッシング』見てなかった・・」とまさかのオチを披露しつつ、本作が世の中で話題になっていることを実感していることを語りました。
会場からの質問 ①「沙織里(石原さとみ)から殴られる場面はものすごく痛かったのでは?」
次に観客からお二人に質問するコーナーへ。まずあがったのは圭吾の姉・沙織里(石原さとみ)との車中でのシーンについて「車中のシーンがとても印象的でした。殴られているのもすごく痛かったのかなと思うんですけれど、どういったところを意識していたのでしょうか?」という問いに森さんはいきなり「めちゃくちゃ痛かったです(笑)」と冗談交じりで答えつつ、「でも、それは本気なので僕も石原さんもお互い本気だったし、台本を読んだ時からすごくエネルギーがいるシーンだなと思っていました。実際は何回もテイクを重ねました」と撮影を振り返ると、𠮷田監督も「20回くらい撮ったよね」と多くのテイクを要したことを明かし、「森君はそのシーンの前までは優等生でずっとポンポンポンって進んでいたんだけど、そのシーンでは(NGの沼に)ハマっちゃったんだよね」と回顧しました。すると森さんは「何度もやっているうちに、新鮮味が全く無くなっていって。自分の心を柔らかくしないといけない!と思って一回車の外に出て体を動かしたんですよ。そこで監督の方をパッと見たらなんと監督はゲームしてたんですよ!」と大事なシーンの撮影中にまさかのゲームをしていたことを暴露。「そこで監督に『ハグしてください!』とハグしてもらいに行ったんです」と驚きの行動を告白しました。𠮷田監督はその時の森の様子を「濡れた犬みたいで抱きしめなくちゃ!と思った」と語りました。車に戻った森さんは「姉ちゃんだからいいだろうと思って、石原さんにも『ハグしてください』とお願いしてハグしてもらいました。すごくエネルギーもらい、そのまま撮影を乗り切りました」と名シーン誕生の裏側を明かしました。
会場からの質問②「姉・沙織里と、失踪した姉の娘と最後一緒にいた弟・圭吾の関係性について」
続いて、早くも3回目の鑑賞だったという観客からは、「姉弟という沙織里と圭吾の関係性が一番容赦なく本音をぶつけ合っている。この作品の中で一番濃いんじゃないかと思いました。森さんはどういった感じで演じられたのでしょうか?」という質問が。森さんは、まず圭吾という役柄の印象について「普通の人なんだけれど、人と人との間(ま)であったりタイミングだったり、全部ちょっとずつずれている人だなと思った。そういう“生きづらさ”みたいなのは、自分の小さい時が本当にそうだったんです。全く同じではないですが、そういうのを取っ掛かりにしました」と自身の経験と重ね合わせて演じたことを語りました。さらに「石原さんのエネルギーに引っ張ってもらった部分すごく大きいです。すっごいピュアなエネルギーを持った方で、役者として絡ませてもらった人たちの中では、今までにないタイプの女優さんだったので、すごく刺激的な撮影だったでした」と振り返りました。
続けて𠮷田監督は、本作の物語はもともとミキサー車の男の話を書こうと思っていたと語り「鬱屈としているのは、こいつ(ミキサー車の男)はお姉ちゃんの子供を預かって、目を離したときにいなくなっちゃって…という負い目を感じているんだ、と書いていたけれど、だんだんとお姉ちゃんの方がキツイな、となってきて、主役はお前じゃないな、と」と脚本作りの過程を説明。さらに、自身も姉がいるという𠮷田監督は「俺も空気の読めない子だった。姉ちゃんに睨まれないようにしながら生きてきたので、自分の中の実体験がちょっと入ってたかな、と思う」と前置きしつつ、「家族の再生というか、家族が辛い目に合った時に、どういう風に踏み出していくのか。血が繋がっている姉弟の再生みたいなものを描きたいな、というのが軸になってたましたね」と本作のもうひとつの「軸」についても語りました。
会場からの質問③「豊(青木崇高)と圭吾が偶然会ったシーンでの”意地悪な間の長さ”について」
続いては、「沙織里の夫の豊(青木崇高)と圭吾が車の修理工場で沈黙しているシーンで、2人が黙っている“間の長さ”に監督の意地悪さを感じ、印象的でした。あの間の長さはどういう発想から生まれたのでしょうか?そして、森さんは、その気まずいシーンをどういう感情で演じていたのでしょうか?」との質問。まず”間の長さ”について𠮷田監督は、「台本には“異常に長い間”と書いたんだけど、僕は、登場人物全員を”良い人”には描かないんです。俺もそういう性格のところがあるんですけど、いい人のフリをして相手へのストレスをぶつける、というか。一番の味方だよ、って言いながらもねちねちと過去のことを言ったりする。ここで『喋らないという選択』が豊の意地悪さというか。良い人キャラなんだけど、人間誰しも持っているちょっとした悪意というか、彼の“小ささ”みたいなもの、人間のそういう部分があるからこそ優しくもできるということを描きたかった」と、“人間描写の鬼”と呼ばれる𠮷田監督ならではのキャラクター造形について語りました。
最後の挨拶で森さんは、「自分の家族であったり、友達だったり恋人だったり、これから出会う人であったり、もう会えないかもしれない人であったり、そういう人たちに対してほんの少しでも思いを持ってもらえたら、この映画の存在意義があるのかなと思います。SNSというのはすごくパワーを持っていて、今実際に口コミで沢山の人達に観てもらっていると聞いてすごく嬉しく思っています。今日はありがとうございました。」と話しました。
𠮷田監督は「自分にとって大事な分岐点になる作品で、出ている役者皆さん、すごく頑張りました。いつも映画というのは自分の子供だと思っているので、全部に等しく大切に思っているんですけど、ものすごく苦しみの中から生まれた作品です。なので、自分の悲しみ、苦しみもここに乗っけて、そこで世界がちょっとでも優しくなるような願いを込めて作った大切な作品なので、誰か一人でも多くの人に観ていただけるように、一人でも多くの方に届いてほしいです」と思いのたけを込めた力強い言葉で締めくくり、イベントは温かい拍手と笑顔に包まれ終了しました。